佛像圖彙368 付・浄土双六

【368】卯(う)


[通釈] 

第十東方 卯 兎(うさぎ) 


[浄土双六]23 持戒(じかい) 


 持戒は、仏教徒たるべき戒律を保つこと。智慧によって欲望を制御して、悪を行わないように自覚的に実践すること。世俗人が実践すべき戒としては、不殺生(ふせっしょう)、不邪淫(ふじゃいん)、不偸盗(ふちゅうとう)、不妄語(ふもうご)、不飲酒(ふいんしゅ(ふおんじゅ))の五戒があり、これらは今まで一つずつ登場しました。なお、出家者 (比丘,比丘尼) はもっと多くの戒を保たなければならないとされています。 戒を破ることを破戒といい、戒を破った僧侶を破戒僧といいます。

 双六の絵は禅宗に見られるもので、門前の石碑は門牌といいます。「不許葷酒肉入山門」(葷酒(くんしゅ)肉山門に入るを許さず)酒と五葷を戒める物。 五葷(ごくん)とは、からくて臭気のある五種の野菜。仏教では、忍辱(にんにく)、野蒜(のびる)、韮(にら)、葱(ねぎ)、辣韮(らっきょう)などの五つをいい、道教では、韮(にら)、辣韮(らっきょう)、忍辱(にんにく)、油菜(あぶらな)、胡荽(コエンドロ)をいう。ともに、欲情や怒りの心をおこすとしてこれを禁じました。    

   江戸時代、寺社は寺社奉行の管轄でしたが、特に多かった女犯(にょぼん)などの行為をした僧は、町奉行などが現行犯で捕縛することもあるものの、その僧は寺に引き渡し、寺法により処罰させました。多くは還俗させて寺から追い出すものですが、絵のように晒しの刑もよく行われました(江戸日本橋。人通りの最も多い繁華な地)。三日間晒し者にしたあと、寺に引き渡して寺により処分させます。

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