佛像圖彙359 付・浄土双六

 

【359】子(ね) 


 [通釈] 

卅六禽形像 第一北方 子 鼠 


[注] 

三十六禽 昼夜十二時に一つずつ割り振り、更に一つ一つに副として二つずつ割り振ったもの。元々道教のもので、占いに用いられた(演禽ともいう)が、仏教にも取り入れられた。


[解説] 

十二支を方角に割り振り、それぞれ副を二つ宛てています。 

第一 北方 子 鼠 

註:副は三十六の燕と十五の蟬 

三十六禽は佛像圖彙収録の物と摩訶止観星曼荼羅所収の物とは隨分異なっています。因みに摩訶止観では一日を三つに分け、佛道修行者を惑わそうとするとの事。 

子 朝爲燕 晝爲鼠 暮爲伏翼(こうもり)(朝は燕となり、昼は鼠となり、夕方には伏翼となる。以下も同じ) 

丑 朝爲牛 晝爲蟹 暮鼈 

寅 朝爲狸(禹域では猫)晝爲豹 暮爲虎 

卯 朝蝟(はりねずみ)晝爲兎 暮爲貉 

辰 朝爲龍 晝爲蛟 暮爲魚 

巳 朝爲鱔(たうなぎ)晝爲蚯蚓 暮蛇 

午 朝爲鹿 晝爲馬 暮爲獐(のろ) 

未 朝爲未 晝爲鷹 暮爲雁 

申 朝爲猫(いえねこ) 晝猿 暮爲猴 

酉 朝爲雉 晝爲鷄 暮爲烏 

戌 朝爲狗 晝爲狼 暮爲犲 

亥 朝爲小猪(ぶた) 晝爲獗(不明) 暮爲猪 


[浄土双六]14 餓鬼(がき) 


 餓鬼道。六道の一つで、餓鬼の世界。常に飢えと渇きに苦しむ亡者の世界。物質上の,とくに食物についての欲望の強い人、むさぼりの心のつよい人は死後、この餓鬼道に落ちるとされています。食物があり、亡者はそれを手に取って食べようとするとたちまち火に変わってしまうため、食べて満たすことができません。 

 飢えは昔においては旱魃(かんばつ)や風水害などによる凶作で常に人びとが直面することで、餓死した人が道ばたなどに転がっているのも江戸時代より前、鎌倉新仏教が興った当時などは日常的な光景でした。こういったことから施餓鬼という法事も盛んとなりました。お盆の行事と混同されていますが、施餓鬼は寺院によっては毎夜行われるなど、時期を選ばず頻繁に執行されています。 

 なお、子どものことをガキ(餓鬼)と呼ぶのは、子どもは食欲が旺盛であることからこう表現したものです。良い言葉ではありませんね。

過去の出来事

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