古書の書き込み(6)

漢籍国字解全書 第廿六巻 正文章軌範


 

昭和二年十月九日午後二時頃、早稲田ニ行キ戦国策下ト共ニ持チ帰ル。学園の近所ハ変化ナシ。大隈邸ノ新築成ツテ居タ。電車ハ終点ト終点ニテ少しく障(3字不明)。昨日来ノ暴風雨モ今日ハ晴レテ好秋時デアル。心地よし。

                  十月十日午後三時

                           治    子    書



 笹原義治氏(佐拳と号す?)の序文のある書物の最後です。この序は草書体で、平仮名も混じり、端正な楷書による毛筆のとは書かれた時の気分がよほど異なるのでしょう。国字解全書は60冊ぐらい架蔵しており(重複あり)、まだ数冊笹原氏旧蔵書はあったと思うのですが、すぐに引っ張り出せないものがあり、後日、もし発見(!)したらまた紹介します。

 「正文章軌範」は便宜上つけたものと思われます。箱と背のみ「正」がつき、中身はすべて「文章軌範」となっています。続編があるため、俗に正(篇)・続(篇)と区別します。明治書院の新釈漢文大系は文章軌範(正篇)・続文章軌範としています。

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