佛像圖彙262
【262】四句文刹鬼(しくもんせつき)
[解説]
四句文刹鬼は、涅槃經(北本・曇無讖(どん むしん)の訳)の四句を表す眷屬。具体的な色合いは「沼部の庚申・密藏院」のホームページに近年鮮やかに修復なった像の画像が出ているので参考に。
若き日の釈迦が雪山童子と呼ばれていた当時の修行中のこと。羅刹に身をかえた帝釈天、あるいは眷属の四鬼から教えを受けたとされるのが四句文刹鬼。鬼はそれぞれ四句のうちの一句をあらわす。刹鬼(せっき)は、人や物などを滅ぼす殺鬼。
是生滅法(ぜしょうめっぽう)赤色
これ あらゆるものうつろいゆくもの
諸行無常(しょぎょうむじょう)青色
一切が変化消滅し不変なものなし
生滅滅巳(しょうめつめつい)黒色
消滅の世界を脱し涅槃にはいる
寂滅為楽(じゃくめついらく)肉色
涅槃は真の楽しみの境地なり
描かれている四体の鬼はいかにも日本古来の伝承に基づいたものであり、涅槃經を由来としているとはいえ、取ってつけた感じは否めない。
「鬼」(キ) という漢字の原義は死者の魂を意味する。餓えた死者の魂を「餓鬼」、死者の魂が泣き喚くことを「鬼哭」というのなどがそれ。
一方、日本古来の「オニ」は祖霊であり地霊であり、目一つの姿で現されており、隻眼という神の印を帯びた神の眷属と捉える見方や、「一つ目」を山神の姿とする説(五来重)もある。「オニ」を「鬼」(キ)という字に当てるようになるのと合わせるように、次第に一本あるいは二本の角(ツノ)を生やしたものや、恐ろしい形相をしたものとして描かれるようになった。ひとたび恐ろしいものとして定着すると、地獄の極卒も鬼(オニ)となり、はては桃太郎の話にも出てくるようになった。赤とか黒といった色は五行説によるという説もあり、さまざまなものが習合というか融合しているようである。
下の絵は、古鐘「四句の文刹鬼」(『北斎漫画』五編)
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