佛像圖彙245
【245】鈴鹿権現(すずかごんげん)
[通釈]
鈴鹿権現 伊勢の国鈴鹿の郡(こおり)に祭る一座の神。
[解説]
鈴鹿権現は、鈴鹿山にいたとされる女神。元々は鈴鹿山を神格化したものと思われるが、女盗賊「立烏帽子」ともいわれる。故に烏帽子を戴き薙刀を持つ姿に。後に坂上田村麻呂に討伐され改心してその妻となるとの伝説もある。
[雑記] 「百年後の仏教」
【26】豊山派宗務長 小林正盛
「百年後の佛敎! 豫言者にあらざる以上、適確なる御返事は無論出來樣筈なし、然れども現在の状態、過去の歴史より推斷せば或は予が妄評を許すを得んか。
過去の歴史が示すが如く、時代人心に順應して、宣傳するものは興り、且つ存すべく時代人心と沒交渉のものは、其の形骸は存すも其の内容は全く朽腐し去りて、何物も留めざるに至らん、法相、三論、華嚴の如きは、全く今日に於て宗敎的活動の存在を認めず、僅かに其の寺門の痕跡に於て、其の遺影を存するのみ、其他の眞言、天台は王朝時代の盛觀なく、浄土、禪、日蓮、眞宗活氣旺盛の觀あるが如きも、これまた、一弛一張、時代を率ゐて百年後の盟主となるものは、其の何なるやは豫想すべからず、併しながら百年後の佛敎は、一大人傑出で此等の各宗派を一團とし眞新佛敎を唱導するあらば、或は、復活の盛觀あるべく、若し、自然の成行に任せば恐くは社會民心の要求を充すの宗派が佛敎の代表として存じ、其餘は、悉く亡滅し去るべし、之れ現在、過去の状態より推して多く誤まらざるの觀察ではあるまいか、敢て御尋ねに應じ申上候以上」
具体的な宗派名を挙げて状態を説明しているのが注目されます。
法相、三論、華厳の各宗は、現今においてほとんど宗教的活動をしている痕跡はなく、ただ寺門が残るばかり。
真言、天台の各宗は、王朝時代のような盛り上がりはない。
浄土、禅、日蓮、真宗の各宗は盛んであるが、時代を率いて百年後の盟主となるものがいずれなのかは想像もつかない。
過去の歴史を見ても、時代に即応して人心によく宣伝した宗派は興隆し、時代や人心と没交渉のものは形骸はなんとか存するものの、内容は廃れてしまうものである。法相、三論、華厳の各宗はいずれも大乗仏教として古いが、例えば法相宗は薬師寺、興福寺、法隆寺といった有名どころであったものの、法隆寺は法相宗から離脱して聖徳宗となり、残る薬師寺と興福寺は今ではどちらかといえば観光地として有名で、信徒にならないまでも法相宗の教えを学んだり信奉する人というのはまず見ない。教えとしての広まりがない状態です。三論宗に至ってはもともと教えを学問的に考究することが中心な性格だったことから完全に学問としての存在となってしまいました。
回答者の小林氏もまた、今後社会と人民の要求を充たす優れた人物が出現すれば、新たな宗派が興隆するだろうとしています。新興宗教といわれるものは無数に生まれており、その中には大変な資金力、動員力を誇るものや、政治に関係する教団まであり、規模や影響力からいえば「復活の盛觀」といえなくもないでしょうが、もとより教祖や教団は法令を遵守して独善に陥らないこと、家族から引き離して入信させてしまうといった強引な行為があってはならないことは言うまでもありません。
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