佛像圖彙235


【235】八王子(はちおうじ) 


 [通釈] 八王子 梵字はキリーク 

国狭槌尊(くにさつちのみこと)である。十代崇神天皇元年、近江の国志賀郡大嶽の傍らに降臨あそばされた。陵山明神ともいう。 

本地は千手観音 


 [注] 国狭槌尊 「日本書紀」の所伝で、天地が初めて開けたとき出現した独化三神の第二神。土地をつかさどる神。 


 [解説]  八王子は、山王七社権現の一つ。牛尾宮。大山咋神荒魂(オオヤマクイノカミアラマタマ)既出。


  [雑記] 「百年後の仏教」 

【17】建長寺派管長 菅原時保(すがわらじほう) 

「習慣的の宗敎と既成的の佛敎は人知の發達に反し或は其權威を失するも……眞實の宗敎、合理の佛敎は人知の向上と共に益々其光輝を發揮し盡十方世界を照破す……斷乎として疑ふ餘地なし……併し法は獨り弘まらず必ず人に依て弘まる故に願はくは不世出の偉人を得たし……徒らに百年後の佛敎に對し歎聲を洩す勿れ……寧ろ各自分に應じて修養せよ、至囑々々(ししょくししょく)」  


 宗派やそれぞれの教義といった時の経過とともに生まれたものはあくまで習慣的なものだからいずれ衰退するも、教えそのものは人知の向上とともに世界を照らすほどの存在となる。しかし、法は人によって弘められるのだから、不世出の偉人を得たいものである。100年後を嘆く必要はない。各自、分相応に修養せよ、という回答。

  末尾の「至嘱」は、大いに期待をかけること。挨拶でほめことばとして用いる。また、相手に頼みこむ意を表わす語。よろしく。    

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