佛像圖彙226


【226】大日如来(だいにちにょらい)

[通釈] 

大日如来 梵字はバン(金剛界) 二十八日 

寂光土の教主である。これについて三種類の大日があるという。金剛界・胎藏界・蘓悉(そしつ)界の大日であると云々。 


 [注] 蘓悉界 蘇悉地院のこと。胎藏界曼荼羅の下部に位置する領域。蘇悉地とは悟りに至る境地を意味する。 


 [解説]

 大日如来も既出。万物の慈母であるとともに宇宙の中心であり、宇宙の真理そのものを表わす。一般に描かれ方には金剛界と胎蔵界の2種類があるとされるが、この説明にあるように蘇悉地(界)もある。如来としては珍しく装飾品を身につけている。 


 [雑記] 

「百年後の仏教」 【9】代議士 佐々木照山 

「佛敎の將來は瞿雲の預言の如く更に東漸の兆あり、○は物質萬能の米國が形似下文明に食滯して別に靈魂の糧を求むるとき之に應じて其の需を充たすべきは佛敎ならざるべからず、佛敎は米國に渡りて彼等が僞善的の人道論に代り更に歐洲を經て亞細亞に復歸すべし、其處に佛敎の新生命あり、沈滯不動現状の儘(まま)ならば唯だ自滅あらんのみ。」

  仏教は日本からさらに東方へ向かい、物質文明(主義)が行き詰まって精神(心を癒す慈愛)を渇望するアメリカで人々の求めに応じ、更に欧州に広まったのち再びアジアに戻ってくる。世界を巡ってこそ仏教の新境地があり、現状に満足していては自滅しかない、とする。

  歴史はこの後、唯物のアメリカと唯心の日本の全面戦争となり、狭い唯心の日本の指導者が決定的に物量が優勢なアメリカの現状を無視して暴走した結果、不幸な結果となっただけでなく、戦後80年になんなんとするのに、日本は多くの米軍基地を存在させつづけるといった、事実上の占領状態にあります。しかも、唯物主義のアメリカは自国第一意識が肥大化し、よそ者の仏教を求めようとはしていない。個人レベルでは仏教に入信する人も少なくないものの、回答者佐々木氏の「其の需を充たすべきは佛敎ならざるべからず」という主張は容れられるに至っていない。

  どの国や地域とも、それぞれの信仰、宗教があり、仏教でなければならないという意見もまた狭いと言わざるを得ませんが、その土地その習俗に合うように変えながら浸透してゆくことが望ましいかもしれません。  

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