佛像圖彙210
【210】月光菩薩(がっこうぼさつ)
[通釈]
月光菩薩 二十日
同じく薬師如来の右脇の菩薩である。
又、月燈大士と号す。月天子(がってんし)である。
[注]
月天子 月天とも。仏教における天部の一人で、十二天の一人。元はバラモン教の神であったが、後に仏教に取り入れられた。月やその光明を神格化した神で、勢至菩薩の変化身ともされる。四大王天に属し、月輪を主領して四天下を照らし、また多くの天女を侍らし、五欲の楽を尽くし、その寿命は500歳といわれる。
[解説]
月光菩薩は、説明にあるように薬師如来の右の脇侍。日光菩薩と基本的に対(つい)をなす姿に作られるが、細部に違いがある。
「月光」は日常的には「げっこう」と読むが、この菩薩の場合は「がっこう」と呉音(慣用音ともいわれる)と発音する(「げっこう」は漢音)。仏教の伝来当時、呉音で経典が読まれたことに関係すると思われる(但し、仏教は必ず呉音というわけではなく、宗派により漢音よみ、唐音よみもする)。「月光」を「がっこう」と読むのは慣れていないと奇異に感じるが、一月(いちがつ)、二月(にがつ)、三月(さんがつ)というように、月の呼び名は「がつ」であり、「いちげつ」「にげつ」とはいわない。こういうのも古来よりの慣用によって定まったものである。なお、儒家の経書(けいしょ)として古来より読まれてきた『礼記』(らいき)に「月令」という篇があるが、これも「がつりょう」(古くは「がちりょう」とも)と読み慣わしている。
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