佛像圖彙204

【204】龍樹菩薩(りゅうじゅぼさつ)


[通釈]

龍樹菩薩 梵字はナ 十七日

十三祖(十は衍字)龍樹菩薩は南インドのバラモンの後裔である。

仏陀が世を去ってからおよそ七百年後に生まれた。

誕生の日は樹の下であった。龍宮に赴いて道を得たので龍樹と名付けられた。この事は統記に出ている。


[ 注 ]

統記 書名。正式には「仏祖統記」。南宋の僧侶、志盤の撰。仏教史の本。


[解説]

 龍樹菩薩は二世紀の人。実在の人物で僧形をしている。真言宗では「付法の八祖」の第三祖とされ、浄土真宗では始祖に挙げる。龍猛(りゅうみょう)とも呼ばれる。なお、龍樹菩薩は真宗での尊称である。代表著作は大智度論。鳩摩羅什による伝記がある。若い頃は不思議な術を心得し、放埓であったと。ある時仲間三人と隠身の術を用い王の後宮に侵入し、宮女を悉く姦した。困り果てた王は床に灰を敷き詰め、足跡を目印に警護の武士に刀刃を振るわせた。仲間三人は斬られて死んだが龍樹一人は辛くも死を免れた。此の事に依って発心し大智識となったという。

余説 平賀鳩溪は此の説話を風流志道軒伝の中で諸国漫遊に出た浅之進が中国は清朝の乾隆帝の後宮に侵入する場面に応用している。〔冢堀庵〕

絵は中央の大きな人物が龍樹(Wikipediaより。説明なし)


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