佛像圖彙178

【178】阿閦仏(あしゅくぶつ)


[通釈]

阿閦仏 梵字はウン 四日

浄名經にいう、「国に妙喜と名付けられた仏が有り、無動(無動如来)と号す」と。疏にいう、「阿とは無、閦とは動くことである云々」と。

七周忌


[注]

浄名經 維摩經の別名。当該の条は見阿閦佛品。小字で記されている通り十三仏では七回忌の本尊。

余説。阿閦仏を説いた経典には『阿閦佛國經』がある。これは後漢の支婁迦讖の訳。仏典の翻訳(漢訳)でも初期の物に属す。金陵刻經處版が入手し易い。〔冢堀庵〕


[解説]

 阿閦仏(如来)は、東方の阿比羅提国(あひらだいこく)に出現した大日如来のもとで発願・修行して成仏し、現在もその国土で説法しているとされる現在仏。『阿閦仏国経』2巻に説かれている。密教で、金剛界の五仏の一。「閦」(シュク)は人や物の数が多いさまを意味する字。用例としては殆ど阿閦仏の尊名が唯一といってもよいもので、「阿閦」は梵名「アクショーブヤ」の音写に過ぎず、この漢字そのものに意味はない。

真言はオン・アキシュビヤ・ウン。

 造像例は少なく、単独で安置されている例は更に少ない。高野山のほか、北海道の青峯山観音寺(下画像。「北海道の仏像」より)など二、三例らしい。


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