佛像圖彙171
【171】大元(だいげん)
[通釈]
大元 禅宗の伽藍神である。
[注]
伽藍神 伽藍を守護する神のことだが、狭義には禅宗及び真言宗泉涌寺派の寺院に見られる境内守護の神。宗派や寺によって祀られる神は異なる。『七仏八菩薩大陀羅尼神呪經』(晉代訳失)には十八の伽藍菩薩が列記されているが、通常は道教系の神が寺院に取り入れられた物。このため道服姿をしている。この図像は曹洞宗でよく見られる「招寶七郎」であろうと思われる。招寶七郎は元々中国の寧波(ニンポー)の入り口の宝招山に祀られた海神で有り、手を上げているのは海路の日和を見ているとも、宝の船を望んでいるとも考えられる。招寶七郎は海運の盛んだった宋代には盛んに信仰されたが、後には廃れた。その流行の様子は水滸伝にも「没羽箭・張淸」が石礫を投げる時に「招寶七郎の様に手を挙げ」とある事からも察せられる。恐らく道元入宋の折日本に将来し伽藍神としたのであろう。他には関羽は伽藍關菩薩、禹は平水大帝、他にも東嶽大帝を伽藍神と祀る所も有る由。〔以上、冢堀庵〕
[解説]
注を参照のこと。下の絵は葛飾北斎画「禅宗の伽藍神 大元の像」(『北斎漫画』より)。左の右手を挙げている道服姿の人物が伽藍神。中央の太った人は布袋と思われる。布袋は七福神の中で唯一実在した僧侶。唐代末から五代時代にかけて明州(現在の中国浙江省寧波市)にいた。禅僧とされるようになったのは後世。
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