佛像圖彙161

【161】北方 金剛夜叉(こんごうやしゃ)


[通釈]

北方 金剛夜叉明王 梵字はウン

『青龍疏』に「一切の可畏(かい)夜叉を摧伏する」とある。

本地は釈迦如来。


[注]

青龍疏 前項参照。

摧伏 さいぶく。ざいふく。打ちくじいて屈伏させること。

可畏 鬼神。羅刹(らせつ)とも。


[解説]

金剛夜叉明王は、密教における五大明王の一尊人で、北方の守護神。人を襲っては喰らう恐るべき魔神(夜叉)であり人々の畏怖の対象であったが、後に大日如来の威徳によって善に目覚め、仏教の守護神五大明王の一尊となった。

仏教に帰依した金剛夜叉明王は悪人だけを喰らうようになり、ここから「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」という解釈が一般的となり、日本においても古くから敵を打ち破る「戦勝祈願の仏」として広く武人たちに信仰された。


[千手観音の持物]22

紫蓮華手


 十方の一切の諸仏に逢うことが出来る功徳があるとされています。

 十方とは十方世界。仏教における考え方で、東・西・南・北の四方と、艮(うしとら)(=北東)、巽(たつみ)(=東南)、坤(ひつじさる)(=南西)、乾(いぬい)(=西北)の四隅と、さらに上・下を合わせた称。あらゆる方角、場所のことから、あらゆる世界のこと。

 さらに、過去・現在・未来のあらゆる時間と空間を三世(さんぜ)といい、大乗仏教では、われわれの住む娑婆(しゃば)世界のほかに、十方に無量の世界「十方世界」があり、そこには一世界に一仏の割合で三世にわたって無数の仏が出現すると説く。これを十方三世の諸仏といいます。世界は宇宙と解釈する向きもあるようですが、ごく簡単にいうと、一つの仏のいる「世界」(宇宙)は無数にいる仏の数だけ存在する、つまり宇宙は一つではなく、他にも無数にあるということ。この説明は近年の宇宙の研究の進展による分析とも合致しており、我々の存在する宇宙は膨張を続けているが、この宇宙の外にも別の宇宙があり、しかもそれはどうやら無限の数であるようだ、といったもの。

 そもそも、今は兜率天(とそつてん)という所で修行をしているとされる弥勒菩薩が如来となってこの世に降りて来られるのが56億7千万年後とされており、はからずもこの年数は太陽が消滅すると考えられている寿命と符合します(5億6700万年説だとこうはならない)。未来仏の弥勒が降りて来られる時、この世がどうなっているか(今の世界情勢や頽廃した政治を見るに、人類はとうの昔に滅びていると悲観せざるを得ない)、救済されるというが、どのようなことをされるのか、叶わぬことながら見てみたいといつも思っています。

過去の出来事

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