佛像圖彙147

【147】妙見菩薩(みょうけんぼさつ)


[通釈]

妙見菩薩

『壒嚢抄』(あいのうしょう)に「北辰妙見尊星王」とある。


[注]

壒嚢抄 室町時代中期に編纂された辞典。全7巻。勧勝寺の僧行誉の著で文安2年または同3年成立。鎌倉時代中後期に成立した『塵袋』にならい、事物の起源や国字および漢字などの語源などを問答形式で解説したもの。


[解説]

 妙見菩薩は、菩薩とはいうものの実は北斗七星を神格化した天部。早く東晉時代には経典が漢訳さているが、唐代に至って信仰が確立。但し中国では仏教の北斗信仰に取って代られたようである。道教の北方の守護神「真武大帝」との関連も考慮する必要がある。

我が国の妙見信仰は千葉氏一族に広まり(海運漁業に伴う北斗信仰に據るか)、七曜・九曜・日月等の家紋も成立。千葉氏の信仰に伴い日蓮宗でも良く祀られる。勝小吉(江戸時代後期の旗本。勝海舟の父)が信仰した能勢妙見はその代表。池上本門寺の院家照榮院妙見堂の本尊は加藤淸正の息女瑤林院が夫君紀伊大納言武運長久のため作らせたもので、小型の像ながら截金細工が施され美麗な像。

絵のように亀の上に立っているのは、四神の内北方を司る「玄武」を象徴している。

 下の絵は能勢妙見菩薩。


 真言は以下のように複数ある。

真言

妙見帰命心真言

「オン ソチリシュタ ソワカ」

「オン ソヂリシュタ ソワカ」

妙見心中心呪

「オン マカシリエイ シベイ ソワカ」

「オン マカシリエイ ヂリベイ ソワカ」

妙見真言(『七仏八菩薩所説大陀羅尼神呪経』より)

「ボチテイ トソタ アジャミタ ウトタ クキタ ハラチタ ヤビジャタ ウトタ クラチタ キマタ ソワカ」

「ロクチテイ トソタ アジャミタ ウトタ クキタ ハラテイタ ヤビジャタ ウトタ クラテイタ キマタ ソワカ」

(目低帝 屠蘇吒 阿若蜜吒 烏都吒 具耆吒 波頼帝吒 耶彌若吒 烏都吒 拘羅帝吒 耆摩吒 莎呵)

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