佛像圖彙142
【142】滅悪趣(めつあくしゅ)
[通釈]
滅悪趣菩薩
『十王経』に破地趣菩薩ともいい、また除一切悪趣菩薩ともいう。大悲三昧に住し、地獄等三悪趣を破却する尊である。
[注]
十王経 僞經の一つ。漢撰と和撰の二種あるが、これは和撰の『地藏菩薩発心因縁十王経』。『十王経』は地蔵信仰と道教に起因する十王信仰が合一したもの。中国では唐末の社会不安と共に広まり、日本では平安末の末法思想と共に広まった。閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経、預修十王生七経、地蔵菩薩発心因縁十王経、地蔵十王経など色々ある。
三悪・三悪趣 六道の内、地獄・餓鬼・畜生をいう。
[解説]
滅悪趣菩薩は地蔵の一種。三悪を除き、十王経に登場する。右手は施無畏印を結んでいる。地蔵は剃髪した僧形だが、滅悪趣菩薩は絵のように観音のような姿をしている。
[千手観音の持物]16
斧鉞手
鉞(ふ)は大型の斧(おの)のこと。まさかり。中国では刑罰を司る君主の象徴ともされています。商代の王墓からの出土例も多々あります。法器としては一切の罪障を断つものという意味がありますが、この図解は権力者の圧制からのがれるためのものと現世利益的に説明しています。
0コメント