佛像圖彙140
【140】法性地蔵(ほっしょうじぞう)
[通釈]
法性地蔵 梵字はカ
不休息(ふきゅうそく)地蔵ともいう。
[解説]
法性地蔵は、両手で柄香炉を左の方に向けて持っている姿。不休息は、常に修行をして休息することがない意。
地蔵の姿は、中国・唐代の『地蔵菩薩儀軌』に、「内に菩薩の行を秘し、外に比丘を現じ、左手に宝珠を右手に錫杖を持し、千葉[せんよう]の青蓮華[しょうれんげ]に安住す」とあり、これが原形というか基本である。地蔵は六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)の衆生を救うために、六種の姿に分身してそれぞれの世界に行っていることや、時代、地域、建立された動機や意味、願いなどによりまさにいろいろに姿を変えているため、同じ尊名なのに実物の様子が異なる例が数多ある。「儀軌」という言葉が出たが、もともと仏像は儀軌により厳格に定められており、好き勝手に改変や脚色を施すことは許されない。地蔵も同様だが、地蔵や馬頭観音のように民衆に親しまれてきたものは、儀軌なぞ知らぬままに造像されている。こういう所にも信仰の深さ、密接さをみることができる。
[千手観音の持物]14
胡瓶手
胡瓶(こへい)とは注ぎ口の付いた瓶。浄瓶とも。中国、唐代に流行した西域伝来の酒瓶で、注ぎ口は鳳凰の頭をかたどってあるが、絵の胡瓶はごく普通の注ぎ口。正倉院には有名な漆胡瓶があります(下画像)。この中には全ての物を清め潤す浄水が満たされています。
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