佛像圖彙132

【132】金剛願地蔵(こんごうがんじぞう)


[通釈]

金剛願地蔵 梵字はイー

左手に炎魔幢を持ち、右手は成辨の印。

地獄に入って衆生の苦を済度する。


[注]

炎魔幢 えんまどう。閻魔幢・人頭杖等とも。地蔵十王経(日本で撰述されたいわゆる偽経)によると、半月形の上に人頭を載せた物。此の人頭は人の本性を見抜くという。幢は、元々は竿の先端に、種々に彩色した布でつくった旗をつけたもの。軍陣などの指揮や、儀式に用いた。はたほこ。さらに法具として、魔軍を破摧する法(のり)の王である仏を象徴して仏・菩薩の荘厳具としたもの。龍や宝珠を上端につけて竿につるし、堂内の柱にかける。


[解説]

 金剛願地蔵は、本書では地獄に入ってとあるが、それよりはるか上の修羅道(阿修羅/憎しみと争いの世界)において衆生を済度するものとされている。阿修羅はインド神話の悪神で、仏教ではとくに帝釈天の敵対者とされる。のちに仏教の守護神となり、八部衆の一つ。


[千手観音の持物]11

宝箭手


前回の宝弓と対をなすもので、こちらは箭(矢)。善き朋友に早く出会いたいと願う人の望みを叶えるもので、これも現世利益。朋も友も「とも」という意味ですが、朋友という熟語は同志といった意味で、何かを成そうとするにあたって、協力や理解してくれる人のこと。一人では困難なことでも、同志がいれば実現できる。そういう人に巡り合いたいという願いをこの手が叶えてくれるというわけです。

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