佛像圖彙124

【124】馬郎婦観音(ばろうふかんおん)


[通釈]

馬郎婦観音

唐の憲宗元和年中に現れた。その事は『観音感応伝』に見える。

婦女身に化現して衆生を済度する。


[注]

馬郎婦観音 「めろうふ」とも。中国の都・長安に魚を商う美女が現れ「観音経・金剛経・法華経」を暗唱出来る男に嫁ぎたいといった。たまたま馬氏の息子がそれに該当したので嫁いだがまもなく昇天したという故事に基づく。元和四年とされる。西京詩仙堂は此の観音を本尊とする恐らく唯一の寺。魚籃観音と同一視する事もある。


[解説]

 馬郎婦観音は、仏教を広めるため、美女に姿を化して現世に登場した観音。美女ゆえに、現世の求婚者が多かった。そのなかに法華経を誦する者、馬氏の郎がいた。馬氏の郎への美女の嫁入りが決まるが、婚礼の夜、美女が急死。悲嘆に暗れる馬氏の郎に、美女の由緒を老僧が説く。美女を埋めた墓を開けてみる。すると、美女は黄金の骨、と化していた――という説話がある。

 絵は小林古径 (1883-1957)画「馬郎婦(めろうふ)」1943年 彩色・紙本 東京国立近代美術館蔵

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