佛像圖彙119
【119】瑠璃観音(るりかんのん)
[通釈]
瑠璃観音
香王観音とも
自在天身に化現し衆生を済度する。
中国の東魏天平(534年~537年)中に出現した。〔割注〕その事は冥祥記(めいしょうき)に見えている。
[注]
自在天身 普門品本文に基づく(世尊 若有衆生 聞是観世音菩薩品 自在之業 普門示現 神通力者 当知是人 功徳不少)(せーそん にゃくうーしゅじょう もんぜーかんぜーおんぼーさーほん じーざいしーごう ふーもんじーげん じんつうりきしゃ とうちーぜーにん)(世尊よ、今あなたが説かれた菩薩としての素晴らしい生き方を、もし人々が耳にしたなら、その功徳は計り知れないものがあることでしょう)。自在天は六欲天の主。本来は仏道を妨げる魔であったが釈尊に帰服した。
冥祥記 中国の南朝斉の王琰の撰。志怪小説集。平凡社の中国古典文学大系60所収。
[解説]
瑠璃観音は、三十三観音の一。水上に浮かぶ蓮華に乗り、手に香炉を持つ姿をとる。香王観音とも呼ばれ、水難、厄除けの観音さま。
ちなみに、仏前で線香を供えるのに用いる什器を線香立てという人がいるが、これも香炉。葬儀社などの広告でも仏具の説明の中で香炉を「線香立て」と表示しているのがある。世間でそのように思っている人が多いためかもしれないが、線香立てというのは文字通り、使う前の線香を立てて取りやすいようにしておくもので、これはきちんと区別させたい。
[千手観音の持物]3
宝鉢手
宝鉢は「ほうはつ」と訓じます。元々は僧侶の托鉢の折に用いる器。体を養い成道へと導きます。托鉢は僧侶が朝に廻り、そこで人々から頂いた食べ物はその日のうちに(厳密にはお昼に)食べてしまい、翌日まで取っておくことはしません。今も東南アジアなどではこのしきたりが日課として続けられているようです。
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