佛像圖彙96
【96】不空羂索(ふくうけんさく)
[通釈]
不空羂索観音 梵字はボ
『千手経』にいう「仏の言葉に「此の菩薩を観世音自在と名付ける。また羂索と名付ける」とある」と。
(つまり、不空羂索とは)生死の大海の中で妙法蓮華の餌を蒔き、心念不空の索を以て衆生の魚を釣り上げ、菩提の彼岸に送るとの意味である。
[注]
千手経 正式には『千手千眼觀世音菩薩廣大圓滿無礙大悲心陀羅尼經』。唐の金剛智訳。曹洞宗で良く誦経されている。「なむからたんのとらやーやー」で始まる大悲心陀羅尼は此の経に基づく。下に経文あり。陀羅尼なのでこのまま音読し、意味は考えない。
[解説]
不空羂索観音は、羂索は漁猟の道具で,どんな魚や鳥も捕らえられるように,必ず人を救うのでこの名がある。 古くから信仰され,東大寺三月堂本尊の三目八臂像は天平仏として有名。天台宗系では、真言宗系の准胝観音の代わりに不空羂索観音を加えて六観音とする。また准胝観音と不空羂索観音を共に数えて七観音とする場合もある。
漢訳経典のなかでは隋時代の6世紀後半に訳された『不空羂索呪経』に初めて現われ、唐の菩提流志(ぼだいるし)が8世紀はじめに訳した『不空羂索神変真言経』にも像容等が詳しく説かれている。
真言は「オン・アモキャ・ビジャヤ・ウン・ハッタ」
天台宗系「オン・アモキャ・ハラチカタ・ウンウン・ハッタ・ソワカ」
真言宗系「オン・ハンドマダラ・アボキャ・ジャヤデイ・ソロソロ・ソワカ」
不空羂索観音立像(奈良県・東大寺法華堂、国宝)
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