佛像圖彙89
【89】満月菩薩(まんげつぼさつ)
[通釈]
満月菩薩
華鬘を持つ。
[注]
華鬘 けまん。仏堂における荘厳具のひとつ。花鬘、花縵とも。梵語の「クスマ・マーラー」の漢訳で、倶蘇摩摩羅と音写される。金銅・牛革製の円形または楕円形のものに、唐草や蓮華 を透かし彫りにして、下縁に総状の金物や鈴を垂らすもの。
[解説]
満月菩薩は、『妙法蓮華経』第一巻の「序品第一」に名前が登場する菩薩。但し、それ以降には登場しない。満月の読みについて、『佛像圖彙』では「まんげつ」と仮名が振ってあり、この読みは一般的にも馴染みあるもので、当時このような読みがされていたのかは不明だが、現在、お経本では「まんがつ」「まんがち」と読ませている。
[雑記]
『妙法蓮華経』の「陀羅尼品(だらにほん)第二十六」はその名の通り、陀羅尼(長文の真言のこと)の詰まったお経です。この存在はさる寺院(日蓮宗)の動画で読経されているのを見て初めて知りましたが、陀羅尼の部分だけ抜粋すると、こんな感じです。
「あに、まに、まね、ままね、しれ、しゃりて、しゃみゃ 、しゃび、たい、せんて、もくて、もくたび しゃび あいしゃび そうび しゃび しゃえ あしゃえ
あぎに せんて しゃび だらに あろきゃ ばさい はしゃびしゃに ねびて あべんたらねびて あたんだはれしゅだい
うくれ むくれ あられ はられ しゅきゃし あさんまさんび ぼっだびきりじって だるまはりして そうぎゃね くしゃね
ばしゃばしゃしゅだい まんたら まんたらしゃやた うろた うろた きょうしゃりゃ あしゃら あしゃやたや あばろ あまにゃ なたや」
「ざれ まかざれ うっき もっき あれ あらはて ねれて ねれたはて いちに
いちに しちに ねれちに ねりちはち」
「あり なり となり あなろ なび くなび」
「あきゃね きゃね くり けんだり せんだり まとうぎ じょうぐり ぶろしゃに あっち」
「いでび いでびん いでび あでび いでび でび でび でび でび でび
ろけ ろけ ろけ ろけ たけ たけ たけ とけ とけ」
それぞれの陀羅尼の前後に世尊(仏)と薬王菩薩、勇施菩薩、毘沙門天、持国天王らとの会話があり、その部分は普通のお経として読み、現代語訳もされていますが、陀羅尼(真言)は古来よりそのまま読んで、決して解釈してはならないという定めに従い、陀羅尼はそのまま音読します。陀羅尼も意味があるわけで、これを現代語に訳したものも書物からネットのサイトまで多々あるものの、通釈はさまざまです。なお、陀羅尼の発音表記も宗派などにより違いがあります。
最後の「いでび いでびん いでび あでび いでび でび でび でび でび でび ろけ ろけ ろけ ろけ たけ たけ たけ とけ とけ」などは、聴いていて不思議な感じがします。「ろけ」を連続で言うと「けろけろ」と聞こえるため、まるでカエルが鳴いているようです。
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