佛像圖彙87
【87】無尽意菩薩(むじんいぼさつ)
[通釈]
無尽意菩薩
この菩薩の伽陀の声は凡夫の妄想の睡りを覚ます。
大品に「空即無量」とある。
[注]
伽陀 かだ。いわゆる声明(しょうみょう)のこと。経典に節を付けて歌う(読誦する)こと。なお、狭義には十二部経(十二分経)の一つで、経文の一段、または全体の終わりにある韻文体の詩句をいう。十二部経は仏教経典を12に分類した呼び名。
修多羅(しゅたら)(契経(かいきょう))
祇夜(ぎや)(応頌(おうじゅ))
伽陀(かだ)(諷頌(ふじゅ))
和伽羅那(わがらな)(授記)
優陀那(うだな)(無問自説)
尼陀那(にだな)(因縁)
阿波陀那(あばだな)(譬喩(ひゆ))
伊帝曰多伽(いていわったか)(本事)
闍陀伽(じゃたか)(本生)
毘仏略(びぶつりゃく)(方広・方等)
阿浮陀達磨(あぶだだつま)(未曽有(みぞう))
優婆提舎(うばだいしゃ)(論議)
初めの三つは経文の体裁から、残りの九つは内容から分けたもの。
大品 だいぼん。大品般若経の略。鳩摩羅什の訳。二十七巻(三十巻に分かつ物も有る)。般若部の経典では巻数の少ない「小品般若経」もあり、六百巻にも及ぶ「大般若経」もある。
空即無量 くうそくむりょう。物の本性は空で、その大きさは計り知れない。広大無辺。
[余説]
芝全交の黄表紙「當世大通佛開帳(とうせいだいつうぶつかいちょう)」では地蔵尊みずから「色道能化地蔵菩薩」と名乗られ、品川と目黒の別れ道に立たれて息子の株を品川の遊郭に誘い、自らも品川で遊ぶというのがあります。絶版になっていますが社会思想社版の「江戸の戲作絵本・続巻一」に入っています。(冢堀庵識)
[解説]
無尽意菩薩は、定慧金剛、無盡金剛菩薩とも。80種類の無尽の法門を説く菩薩。
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