佛像圖彙83
【83】大威徳菩薩(だいいとくぼさつ)
[通釈]
大威徳(王)菩薩
大とは普遍広博の意味、威とは威勢の意味、徳は徳義功徳の意味、王とは自在の意味である。つまり、大威勢の道徳が明らかで、衆生を済度するに大悲自由であるが故に大威徳王という。
[注]
標題は「王」の字が抜けている。正しくは大威徳王菩薩。
持物は曼珠(宝玉を連ねた物)。
[解説]
大威徳王菩薩は、広大無辺の威徳を持ち、衆生を救う菩薩。なお、似た尊名として大威徳明王があり、もちろん菩薩と明王は全く異なるが、菩薩より下位にある大威徳明王は古来より人気が高いようで、京都の東寺や醍醐寺をはじめとして安置し奉る寺院が各地にある。菩薩さまは総じて大人しく、明王さまのほうがすぐにも邪悪なものを打ち払ってくれそうな感じがすることからお不動さまをはじめとして広く信仰されてきた。二十五菩薩は観世音、普賢、虚空蔵など有名どころもある一方、ほとんど尊像すらないものもあり、この大威徳王菩薩も影が薄い感じがする。
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