佛像圖彙82

【82】獅子吼菩薩(ししくぼさつ)


[通釈]

獅子吼菩薩

獅子とは梵語で迦羅(から)といい、唐では獅子或いは無畏(むい)と訳す。されば、此の名前が付いておられるのは、説法して衆生を済度する際に無畏威徳を得られたからである。

獅子は獣類の王であり、出歩くのに畏れる物が無いことからこのように名付けられたのである。


[注]

無畏 仏の何物にも畏れる事のない境地。

持物は拍板(カスタネットの様な楽器)。

余説。中国で獅子吼とは恐妻の事をいう。蘇東坡が友人の陳季常の妻が嫉妬深かった事を揶揄した詩に基づく。河東獅子吼、或いは河東獅吼と成語にもなっている。


[解説]

 獅子吼菩薩は、獅子が吼える様子のように堂々と悟りについて説法する菩薩。すべての病気を癒す観音さまという説もあるようだ。「獅子吼」は仏語で、仏の説法のこと。獅子がほえて百獣を恐れさせるように、悪魔・外道(げどう)を恐れ従わせるところからいう。なお、一般的には大いに雄弁を振るうこと、大演説のさまとして獅子吼が使われている。(例:長い政治経歴の間、演説で論争で獅子吼を続け、つぶれ、きたえ上げられた声だ[小松左京「日本沈没」1973])

 画像は一般に売られている絵。元絵があると思われるが不詳。

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