佛像圖彙58

【58】金剛業(こんごうごう)

[通釈]

一切の如来、大精進、金剛業等の一切の諸仏に帰依し奉る。

出生義にいう「一切の如来、善巧工藝門より金剛業を生ぜしめたまう」と。


[注]

善巧工藝門 人に応じて巧みに善に導き仏道に入らせること。善巧方便ともいう。


[解説]

 金剛業、弁事金剛菩薩とも。金剛界四方のうち北方、不空成就如来に属す。


[雑記]

 仏教(特に大乗)は救済の宗教といわれるように、いずれの如来、菩薩とも、そのお姿は救済のための思案をしたり修行をするものです。この訳注を始めるようになってさまざまな資料、解説にあたって、まだ生かじりですが、基本的なことは今更ながらわかってきました。もともと仏像は好きで、歴史や美術の教科書、資料集に仏像や寺院の写真があると、授業中に耳は先生の話を聞きながら、目はそれらを眺めるということをよくしたものです。その後も、徒然に仏像の写真集や解説書はよく見ますが、それぞれの印の意味などよりも、全体の姿やお顔、千手観音ならそれぞれの手に持つものなどに興味が向いて、全体の意味は等閑の状態でした。しかし、本書の図を見て、同じような姿なのに指の形が違い、それには意味があること、そしてすべてに共通するのは「救済」であることを知るに及んで、とてもありがたいものと思うようになりました。

 仏さまに変わって救済をするのが政治家であり、選挙や税金といった布施で大切な任務を担っている人たちに、果たして救済という崇高な意識があるかどうか。それぞれの言動に現れており、人は騙せても神仏はお見通しとはこのことかと畏怖する毎日です。

過去の出来事

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