佛像圖彙40

【40】普賢菩薩(ふげんぼさつ)

[通釈]

普賢菩薩 梵字はアン

徳利周徧(とくりしゅうへん)を普と名付け、仁慈恵悟を賢という。『華嚴普賢行願品』(けごんふげんぎょうがんぼん)にいう「願わくは私が命の終わる時に臨んで、一切の障碍を取り除き、浄土の阿弥陀仏にまみえて安楽国に往生せんことを」と。


[注]

中国・四川省の峨眉山が普賢菩薩の霊場とされる。真言は「オン・サンマヤ・サトバン(Om samayas tvaṃ)」

徳利周徧 徳利は仏の理・定・行の徳。周徧はあまねく、広く。以上を合わせて、あまねく仏の徳を広めるのが「普」。普通というと平凡、珍しくもないといった意味で使われるが、もともとはあまねく通じる、広く行き渡ることで、世間に認知され親しまれている意味であり、そうなるまでには長い年月、さらには人為的なものであれば不撓の努力が要る。

仁慈恵悟 仏による仁(親愛)、慈(いつくしみ)、恵(めぐみ)、悟(さとり)。この言葉は漢訳であり、仁などは儒教の徳目でもあるので、仏教語として純粋に理解するのは難しいが、意味としては大差ないだろう。

華嚴普賢行願品 正しくは大方廣佛華嚴經普賢行願品。略称は普賢行願品。普賢菩薩の10の主要な誓願を説明する。これを十大願という。諸仏に敬意を表し、如来を称賛し、広く供養を修め、罪業を懺悔し、功徳を喜び、仏の正法を広め、仏がこの世に住むよう願い、常に仏の教えに随って学び、常に衆生に順い(父母のように敬い)、すべての功徳があまねく皆にいきわたるように願う。この十大願はすべての菩薩の行願(=精進しようとする誓い)の代表格といわれている。


[解説]

 釈迦(しゃか)の右側に立つ脇侍。理知・慈悲をつかさどり、また延命の徳を備える。文殊(もんじゅ)とともに諸菩薩の首位に置かれ、単独でも信仰される。独尊として表されるときは白象に騎乗し、結跏趺坐(けっかふざ)、合掌の姿をとる。この菩薩の立てた十大願は一切の菩薩の行願の旗幟とされるが、具体的な解釈の仕方は諸宗により種々の差異がある。

法隆寺上御堂の釈迦三尊像(釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩) 平安時代造立。国宝。(サイト「祈りの廻廊」より)

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