佛像圖彙29
【29】宝生如来(ほうしょうにょらい)
[訳]
宝生如来 梵字はタラーク
『両部曼荼羅私記』(りょうぶまんだらしき)にいう「宝生とは、万宝能生の尊、福徳荘厳(そうごん)の仏である」と。
[注解]
『両部曼荼羅私記』は書名。未見。慈雲尊者飲光に『両部曼荼羅追記』があるが同一かは未詳。
[余説]
冢堀庵氏言う、恩師原田種成(たねしげ)先生(故人・漢学者)は「書物からの引用に『曰く』を使うのは相応しくない、『云う』を使うべきだ」と。
[解説]
密教における金剛界五仏の一で、金剛界曼荼羅では大日如来の南方に位置する。唯識思想における仏の悟りの境地のひとつ「平等性智」(びょうどうしょうち)を具現化したものという。全ての存在には絶対の価値があるということを示す。印相は、左手は腹前で衣を掴み、右手は手の平を前に向けて下げる「与願印」(よがんいん)を結ぶが、『佛像圖彙』の絵は手の甲を前向きに描いている。
日本における宝生如来の彫像は、五仏(五智如来)の一として造像されたものが大部分であり、宝生如来単独の造像や信仰はまれである。単独の造像の例は藤次寺の本尊像がある。
病気治癒、無病息災、滅罪の功徳があるとされている。
真言は「オン アラタンノウ サンバンバ タラク」
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