佛像圖彙27
【27】善住法海勝慧遊戲神通(ぜんじゅうほうかいしょうえゆげじんつう)
[訳]
善住法海勝慧遊戲神通 梵字はア
東方に行く事九競伽沙の仏土に一つの世界が有り、名を善住法海国という。そこに一人の仏がおわして、名を善住法海勝慧遊戲神通如来という。四つの大願を発せられた。
[解説]
七仏薬師の第六。右手には薬壷を持っている。
尊号の「遊戯神通」とは、仏菩薩が神通に遊んで人を化して以て自ら娯楽すること。神通とは、無礙(むげ)自在で超人的な不思議な力。また、そのはたらき。霊妙ではかり知れず、自由自在にどんな事をもなしうる働きや力。禅定などの修行によって得られるもので、天眼通・天耳通・他心通・宿命通・神足通の五神通、また、これに漏尽通を加えた六神通があるという。俗人の「遊び」とは違うが、それにより心を楽しませる、悦楽するという点は通じるだろう。
画像は中国の清時代(18~19世紀)の銅造、鍍金による彫像で、着衣や台座の形式が一致するため、七仏薬師として造られたとみられている。右手を前に向け、左手を腹前で仰ぐ仕草から、宝月智厳光音自在王如来あるいは法海勝慧遊戯神通如来である可能性が考えられるものの、銘文がなく区別しがたいという。『佛像圖彙』の法海勝慧遊戯神通は手の格好が違うが、何を元にしたのであろうか。七仏薬師の彫像はほとんど例がないだけに、この像は貴重である。東京国立博物館蔵。
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