佛像圖彙26

【26】法海雷音如来(ほうかいらいおんにょらい)

[訳]

法海雷音如来 梵字はバー

東方に行く事八競伽沙の仏土に一つの世界が有る。名を宝幢国(ほうどうこく)という。ここに一人の仏がおわします。名を法海雷音如来という。四つの大願を発せられた。


[解説]

 七仏薬師の五。

 「宝幢」とは①「法幢」の美称。また、宝珠で装飾した幢(はた)。②「宝幢仏」の略。密教で、胎蔵界の五仏の一つ。中台八葉院の東方に配される。この仏さまも「宝海雷音如来」とするのが正しい。

 胎蔵界五仏(たいぞうかいごぶつ)は、仏教の尊像の一種で、密教の世界観を表した両部曼荼羅のうちの1つ、胎蔵曼荼羅の中心に位置する5体の仏のこと。具体的には、大日如来、宝幢(ほうとう)如来、開敷華王(かいふけおう)如来、無量寿如来、天鼓雷音(てんくらいおん)如来を指す。

胎蔵曼荼羅中台八葉院

 胎蔵曼荼羅は全部で12の区画に分かれており、そのうち、中心になる「中台八葉院」には蓮華の中央に大日如来、周囲の8つの花弁には宝幢、開敷華王、無量寿、天鼓雷音の四仏と、普賢、文殊、観自在(観音)、弥勒の四菩薩が位置している。このうち、大日如来と四仏を合わせて胎蔵五仏と呼ぶ。大日如来以外の四仏の位置と方角をまとめると次の通りである。

宝幢如来 東方(胎蔵界曼荼羅画面では上方 金剛界では西方が上方)に位置し「発心」(悟りを開こうとする心を起こすこと)を表す

開敷華王如来 南方(画面では右方)に位置し「修行」(悟りへ向かって努力を積むこと)を表す

無量寿如来 西方(画面では下方)に位置し「菩提」(悟りの実感を得ること)を表す

天鼓雷音如来 北方(画面では左方)に位置し「涅槃」(悟りが完成すること)を表す

(画像は中台八葉院で、尊像は中央が大日如来、その真上が宝幢如来、以下時計回りに普賢菩薩、開敷華王如来、文殊菩薩、無量寿如来、観自在菩薩、天鼓雷音如来、弥勒菩薩)

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