訓蒙図彙115
訓蒙図彙 115 果蓏の部
木瓜(もくか) papaya
[訓読]木瓜 もくくわ(もくか) もけ。俗に云ふ、ぼけ。今按ずるに、皆音の誤なり。一名、楙(ぼう)。又木瓜は大にして瓜の如し。図する所は、蓋し〓子(さし)なり。木桃(もくとう)、同じ。
[通釈]木瓜 もくか もけ。俗に「ぼけ」という。今考えるに、「もけ」「ぼけ」ともに発音の誤りである。一名、楙。また、木瓜は実が大きくて瓜のようなもの。描かれているのは、〓子(さし)である。木桃というのも同じ。
[語釈]●木瓜 ボケ(木瓜、学名: Chaenomeles speciosa)、バラ科ボケ属の落葉低木。日本に自生するボケは、クサボケといわれる同属の植物。果実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したとも言われる。『本草和名』(918年)には、果実の漢名を木瓜(もくか)、和名を毛介(もけ)として登場する。学名のspeciosaは、「美しい」「華やか」、Chaenomelesは「chaino(大きく裂けた)+melon(リンゴ)」が語源。中国植物名(漢名)は、貼梗海堂(ちょうきょうかいどう)。原産地は中国大陸で、日本へは古く平安時代に渡来し、観賞用に栽培された帰化植物。本州から四国、九州にかけて植栽、または自生。温暖地でよく育ち、北海道南部では種類が限定される。 ●〓=禾+且
[用例]
『詩經』衛風.木瓜:投我以木瓜,報之以瓊琚。
『爾雅』釋木:「楙,木瓜。」晉.郭璞.注「實如小瓜,酢可食。」
元.喬吉『兩世姻緣』第一折:有那等花木瓜長安少年,他每不斟量隔屋攛椽。
元.康進之『李逵負荊』第三折:原來是花木瓜兒外看好,不由咱不回頭兒暗笑。
『水滸傳』第二四回:人只道一個親兄弟做都頭,怎地養活了哥嫂,卻不知反來嚼咬人,正是『花木瓜,空好看』。
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