訓蒙図彙96
訓蒙図彙96 茶
茶(た) tea
[訓読]茶 た 俗音ちゃ。又音さ。並びに未だ詳かならず。本荼に作る。今按ずるに、茶の早く採るを茶となし、晩(おそ)く採るを茗(めい)となす。或はまた通用す。凡そ葉を治めて芽茶(げちゃ)となす。餅と成るを蝋茶(ろうちゃ)となす。粉と作(な)すを茶末(ちゃまつ)となす。
[通釈]茶 た 俗音ちゃ。また音さ。いずれもよくわからない。もと荼の字(草冠の下が余)に作る。今考えるに、茶を早く採るのを茶とし、遅く採るのを茗とするが、どちらも同じ意味として通用することもある。およそ葉を収穫して芽茶とし、餅を作るのを蝋茶とし、粉を作るのを茶末(抹茶)とする。
[語釈]●茶・荼 この注解では茶(チャ)を「タ」とし、もとは荼(た)で、両字は同じものとしている。しかし、荼(た)はキク科の多年草にがな(苦菜。のげし)で、別の字である。現在、この字は専ら「荼毘に付す」という言葉で使われている。荼毘は梵語の音訳。
[用例]
『水滸傳』.第一回:大蟲去了一盞茶時,方纔扒起來。
※「一盞茶時」は茶を一杯飲むほどの僅かな時間の例え。
明.高濂『玉簪記』第三三齣:霎時間雲雨暗巫山,悶無言,不茶不飯,滿口兒何處訴愁煩。
※「不茶不飯」は茶も飲みたくない、ご飯も食べたくないということで、それほど気分が沈んでいるさま。
『警世通言』卷二十四.玉堂春落難逢夫:三叔,你今到寒家,清茶淡飯,暫住幾日。
元.關漢卿「鬥鵪鶉.天淨沙」曲:茶餘飯飽邀故友,謝館秦樓,散悶消愁。
明.湯顯祖『牡丹亭』第三齣:從今後茶餘飯飽破工夫,玉鏡台前插架書。
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