和俗童子訓79
貝原益軒著『和俗童子訓』79
「あいうゑを」五十字は、和音に通ずるに益あり。横縦によみ覚ふべし。かなづかひ、「てには」なども、これを以、しるべし。「いろは」の益なきにまされり。国字も、皆是にそなはれり。片かなは、をそくをしえ知らしむべし。
【通釈】
「あいうゑ(え)を(お)」の五十字は、和音を理解する上で益がある。横縦に読んで覚えるがよい。仮名遣いの「てには」なども、同様に覚えるのがよい。益のない「いろは」より優っている。国字も、皆これに備わっている。片かなは、あとから教え覚えさせるがよい。
【解説】
これは享保16年(1731年)の五音図。今でいう五十音図。五十音図は現在確認されているものとしては平安時代中期の『孔雀経音義』 (1004年 - 1027年頃) や『金光明最勝王経音義』 (1079年)がある。どちらも仏書で、「音義」は漢字の発音と意味を表した注釈書のことであり、漢訳仏典において漢字の発音を仮名で書き表そうとしたことから考案されたようである。この頃には母音は今と同じく五種類だが、古代の日本語は母音がおよそ八種類ぐらいあったといわれている。
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