和俗童子訓26

貝原益軒著『和俗童子訓』26

人の弟子となり、師につかへては、わが位たかしといへ共、たかぶらず。師をたっとび、うやまひて、おもんずべし。師をたっとばざれば、学間の道たたず。師たる人、教を弟子にほどこさば、弟子これにのっとりならひ、師に対して、心も顔色もやはらかに、うやまひつつしみ、わが心を虚しくして自慢なく、すでにし(知)れる事をもしらざるごとくし、又よく行なふ事をも、よくせざるごとくにして、へりくだるべし。師よりうけたるをしえをば、心をつくしてきは(究)めならふべし。是弟子たる者の、師にあひて、をしえをうくる法なり。


【通釈】

人の弟子となり、師に仕えるからには、自分の位が高くとも、驕り高ぶってはならない。師を尊び敬って重んじること。師を尊敬しなければ、学問の道は立たない。

師たる人が教えを弟子に施すからには、弟子は師に従って習い、師に対して、心も顔色も柔らかで、敬い慎み、わが心を虚しくして自慢することなく、既に知っていることでも知らないといった態度をし、また、得意なことでも不得手なようにして、どこまでもへりくだるようにすること。

師より受けた教えは、心をつくして考究し復習すること。これは弟子たる者の、師に出会い、教えを受ける上での務めである。

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