和俗童子訓11

貝原益軒著『和俗童子訓』11

小児の時より、心もちやはらかに、人をいつくしみ、なさけありて、人をくるしめ、あなどらず、つねに善をこのみ、人を愛し、仁を行なふを以志とすべし。人わが心にかなはざるとて、顔をはげしくし、ことばをあらくして、人をいかりのるべからず。小児、もし不仁にして、人をくるしめ、あなどりて、情なくば、はやくいましむべし。人に対して温和なれども、其身正しければ、幼きとて人あなどらず。


【通釈】

小児の時より、心もち柔らかく、人を慈しみ、情があり、人を苦しめたり侮ることをせず、つねに善を好み、人を愛し、仁を行なう志を持つようにする。他人が自分の気に入らない言動をしたからといって、表情を荒々しくしたり、言葉を荒げて、人を怒り罵ってはいけない。

小児が、もし不仁にして、人を苦しめたり侮って情がないようであれば、早く改めるようにすべき。人に対して温和であっても、その身が正しければ、幼いからといって人は侮ったりはしないものだ。

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