南留別志380

荻生徂徠著『南留別志』380

一   武者所(むしゃどころ)といふは、官府の名なるべし。御書所(ごしょどころ)、御厨子所(みずしどころ)、記録所の類なるべし。兵家者流の輩の六十六箇国に、武者所三十三ありといへるは、団を誤れるなるべし。


[語釈]

●武者所 内裏や院御所の警備を担当する令外官。 

●御書所 宮中の書物を管理した役所。別当・預 (あずかり) ・開闔 (かいこう) ・覆勘 (ふっかん) などの職員を置いた。今の宮内庁書陵部にあたる。 

●御厨子所 令外官(りょうげのかん)の一つ。内裏後涼殿 (こうろうでん) の西の廂にあって,朝夕の食事を調達し,節会などの際酒肴を司る。別当,預,所衆,膳部,滝口などの職員がおかれた。 

●記録所 記録荘園券契所(けんけいじょ)の略称。令外官の一つ。1069年後三条天皇が設けた荘園整理事業のための役所。天皇の死後消滅するが,のち白河上皇や源頼朝らが性格・機能の変化した記録所を設置。1321年後醍醐天皇は訴訟を扱う記録所を政務の中心機関とした。

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