南留別志367

荻生徂徠著『南留別志』367

一   朝廷のを職といひ、武家のを役といふ事、是も異国より来れる詞なり。職役といふ詞は、官吏へかけて、官人のつかさどりを職とし、吏のつかさどりを役とするなり。


[解説]職役は職務と役目のことで、大きな職務のもとにそれぞれの役目がある。幕府(武家)が実権を握っていたとはいえ、建前上は朝廷が上であるから、朝廷の職のもとで幕府が公役を果たした。幕府のことを公儀、将軍を公方(くぼう)といったが、「公」という概念も朝廷のもとで公務を果たすということによる。幕府は決して将軍の私有物ではないし、政治も恣意的にするものではない。そのような誓い、自負が「公」さらには「役」(役人というのもこれによる)という字にこめられている。

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