南留別志353
荻生徂徠著『南留別志』353
一 罵を「のる」とよむは、呪咀(じゅそ)といふ事あるより起りて、のろふ事なるべし。祝詞(のりと)を「のつと」といふ。中臣祓(なかとみのはらへ)に「のる」といふは、のたまふ意なり。法を「のり」といふも、上よりのたまひたる事なればなり。古は神と人とわいだめなきゆゑ、「のゝじる」といふは、高声にいふ事なり。神の祝詞も、上の仰せ事も、高声にとなふるゆゑなるべし。
[語釈]
●中臣祓 『延喜式』巻八「六月晦大祓」(大祓詞)をもとにして作られたものと考えられており、12世紀初頭に成立した『朝野群載』巻六に「中臣祭文」として収録されたものが現存最古の本文。「中臣祓詞」(なかとみのはらえことば、略して中臣祓)は毎年6月と12月の末日に行われる大祓で、犯した「罪」「穢れ」を祓うために唱えられた祝詞。中臣氏が京の朱雀門で奏上していたことから中臣祓の称がある。
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