南留別志349

荻生徂徠著『南留別志』349

一 返閉(へんばい)といふは、陰陽師が、行幸の時にする事なり。軍法者の家に遍唄(へんばい)といふ事のあるは、これを誤りたるなるべし。


[語釈]

●返閉 禹歩(うほ)に同じ。天皇または貴人が外出のとき、道中の無事を祈って陰陽家(おんようけ)がまじないを唱えながら舞踏する作法。中国で夏(か)の禹王が国土経営のため天下を歩き回ったために、歩行が不自由となったという伝説による語。大股でゆっくり歩く。 

●遍唄 兵法書に『遍唄切紙解』というのがある。内容は未見だが、返閉と似たようなものか、言い換えたものだろう。

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