南留別志344
荻生徂徠著『南留別志』344
一 むかでといふ虫は、「もゝかで」なるべし。「か」は「箇」なり。百日を「もゝか」といふも、「もゝかのひ」といふ事を、日を略したるなり。
[解説]むかでは「百足」と表記するが(他に「蜈蜙」「蜈蚣」「蝍蛆」など)、徂徠によれば元は「ももかで」(百箇手)で、百日を「ももか」と読むのは「百箇日(ももかにち)」の「箇」を略して「日」を「か」と読むようになったのと同じく、「百箇手」の「箇」が略され、「百手」(ももかで→もかで→むかで)と言うようになったのだろうとする。古くから「足」の字が当てられているが、「で」と読んでいることから「手」の意味である。もちろん、生物学的にはむかでの体の両側に対になって並んでいるのは「脚」であるが。
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