南留別志326

荻生徂徠著『南留別志』326

一 今時(こんじ)、「くがい」といふ詞あり。公廨とかくなり。本(もと)は、国々の年貢米の内にて、京都にはこ(運)びのぼ(上)するを正税といふ。其国に残し置きて、守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)、目(さかん)等の国司どもが分け取りて、雑用にするを公廨といふ。職田は、全く私用に用ふるなり。公廨は、官府にての雑用にするなり。是(これ)よりして私ならぬおし出だしたるを、公廨といふなるべし。

 

[語釈]

●公廨 くがい。くげ。本来は官衙の舎屋の意味であったが、律令制下においては官衙の収蔵物・用度物のことを指すようになり、更に転じて官人(特に国司)の得分(給与)を指すようになった(収蔵物・用度物の使い道の代表的なものであったため)。

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