南留別志323

荻生徂徠著『南留別志』323

一 伊逹家にては、糒(ほしいい)を城に貯(たくわ)ふる事、古、陸奥国には、儲の糒といふ事ありし例の、今に残りたるなり。


[語釈]

●糒 米を一度煮たり蒸したうえで、天日に干した飯。乾(干)飯とも書き、「ほしい」「かれい(い)」ともいう。出征、旅行などのときに所持した携帯食で、水か湯につけて柔らかくして食べた。 

●儲の糒 儲は貯に同じ。貯蔵した糒。令の規定によれば保存期間は 20 年で、国(国衙)が管理する「国儲糒」と軍団管轄下の「兵儲糒」とがあった。徂徠は陸奥国を挙げているが、諸国正税帳の内容から全国各地で保管されていたことが知られるものの畿内諸国には備えがないことから、飢饉・疫病対策のためではなく軍事行動を支える兵士の食糧と考えられている。

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