南留別志318

荻生徂徠著『南留別志』318

一 半匹を一端といふは誤なり。令に見えたるは、一端も一匹も同じ事なり。五丈二尺をいふなり。学生の束修は、布一端なり。


[解説]着物にする前の反物を一反(いったん。徂徠は「一端」と表記)と数えるが、一反は長さ二丈六尺または二丈八尺。二反を一匹(一疋)という。江戸時代にはこの数え方が一般的である。つまり、半匹だと一反。しかし、何事も原義、本義を明らかにし、大切にしたい徂徠は、令の規定では長さ五丈二尺が一反であり一匹であるとする。学生が授業料として納める束脩(そくしゅう)が布一反の決まりであったとも。令の規定とは別に、時代が下るにつれて繊維・織物の種類などによって単位が区分されていった。疋は絹織物に、段、端は麻織物に使われたが、反は疋物を半分にした単位として現れ、これがしだいに一般化されるようになったという。織物の単位、あるいは贈答品の表示に使われる「一疋」とは、二反をさすことになる。

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