南留別志312
荻生徂徠著『南留別志』312
一 今の世に、国造(くにのみやつこ)といふものを、尊きものにいふは、僻事(ひがごと)なり。古は、その国をひらきたる神を、其国の一の宮として祭り、其子孫を国造といひて、其神の祭をも司り、又国の政務をも司りたり。其後、百官をたてたりし時より、国司といふもの出来ては、国造は、国の政務にかまはず。たゞ祭ばかりを司るゆゑ、神となれるなり。国造をえらびて、郡司にする事、令に見ゆ。されば、国造より郡司になるを規模としたるなるべし。たゞ家系のふるきなり。
[語釈]
●国造 古代日本の行政機構において、地方を治める官職の一種。また、その官職に就いた人のこと。軍事権、裁判権などを持つその地方の支配者であったが、大化の改新以降は主に祭祀を司る世襲制の名誉職となった。
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