南留別志308
荻生徂徠著『南留別志』308
一 国司は、国守なるを、守護といふ事出来たる後は、公家より置きたる官人をいひたるなり。国守は、多くは京都にありながら、かけて其所務をとるまでにて、国務にかまはぬ事になりたるゆゑ、国守と国司と名わかれたり。
[語釈]
●国司 朝廷から諸国に赴任させた地方官。四等官である守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)、目(さかん)を指す。守の唐名は刺史(しし)、太守など。大国、上国の守は中央では中級貴族に位置する。
●国守 一国以上を領有していた大名。国主大名。国持(くにもち)。
●守護 鎌倉・室町時代の職名。各国の警備、治安維持に当たったが、後に強大となり領主化した。守護職。
[解説]国司と国守は本来同義であったが、守護職が出来てからは国守は京都で執務をし、任地に赴いて政務をとることがなくなったことから国司と国守は別の意味を持つようになったということ。
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