南留別志291

荻生徂徠著『南留別志』291


一 尸(し)といふ事は、異国にはなき事なり。族といふ心なり。氏族の貴賤を分(わか)てるなり。同じき姓にても、朝臣(あそみ・あそん)をなのる家もあり。宿祢(すくね)をなのり(名乗り)、連(むらじ)をなのる家もあるなり。


[語釈]

●尸 音シ、訓しかばね。部首(尸冠(しかばねかんむり))でもある。死体を表わすが、人体や、家、履き物に関する字に使われる。神の身代わり「かたしろ」という意味もある。徂徠はこの段では「氏」という意味で使っているが、あるいは原文が「氏」の誤りではないか。

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