南留別志264
荻生徂徠著『南留別志』264
一 阝(こざとへん=つくりの左につく部首。陸、防など)、是を「こさるへん」といふ。阝(おおざと=つくりの右につく部首。都、邦など)を「のぼりさる」といふ。形につきていへるなり。此比(このごろ)、「こざと」「のぼりざと」といひかへたるは、かへりて(却って)あやしきなり。
[解説]阝は阜(フ、おか)部の部首。源字となった「𠂤」「𨸏」には「積み重なったもの」の意味があり、さらに古い異体字で「𠼛」「𠻰」など、もとは「大きな崖山の上に大きな岩が積み重なっている様子」を表した。ここから「大きい」という意味となり、「阜」字は小高い土山・丘陵、「おか(丘)」を意味する字となった。位置の関係から左につくものは「こざとへん」と「へん」(偏)がつくが、「おおざと」には「へん」はつけない。位置に関係なく、地形や地名(邨(むら)・部・郡・都・郊など)を表わす。なお、漢和辞典の元となった『康煕字典』は阜部に分類しているが、知識のない一般の人向けに、現在は3画の「阝」も部首として検字ができるようになっている。(画像は『康煕字典』は阜部冒頭、ページの上半分)
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