南留別志258

荻生徂徠著『南留別志』258

一 世に生まれしやうといふ事なり。京房が、姓をさだめたる術なり。故に納音(なっちん)といふ姓の字よし。


[語釈]

●京房 けいぼう、きょうぼう。前78―前37。中国前漢末の元帝の頃の音楽理論家。字は君明,号は易京。梁の焦延寿に仕え,易を学び,延寿と同じく孟氏易と称したが,孟喜の直弟子には認められなかった。天文や気候の異変により災厄を予言し,元帝の信頼を得て魏郡太守となったが,讒言により獄死した。音律を好み音色を知り,十二律を研究。それまでの管による十二律算定法の不合理を悟り,延寿の律説を拡充して弦による音律測定器を考案,準と名づけた。 

●納音 六十干支を陰陽五行説や中国古代の音韻理論を応用して、木・火・土・金・水の五行に分類し、さらに形容詞を付けて30に分類したもの。生れ年の納音によってその人の運命を判断する。荻原井泉水、種田山頭火などはこの納音から俳号をつけた。

  納音用語

海中金 かいちゅうきん  甲子・乙丑

爐中火 ろちゅうか    丙寅・丁卯

大林木 たいりんぼく   戊辰・己巳

路傍土 ろぼうど     庚午・辛未

釼鋒金 じんぼうきん   壬申・癸酉

山頭火 さんとうか    甲戌・乙亥

澗下水 かんかすい    丙子・丁丑

城頭土 じょうとうど   戊寅・己卯

白鑞金 はくろうきん   庚辰・辛巳

楊柳木 ようりゅうぼく  壬午・癸未

井泉水 せいせんすい   甲申・乙酉

屋上土 おくじょうど   丙戌・丁亥

霹靂火 へきれきか    戊子・己丑

松柏木 しょうはくぼく  庚寅・辛卯

長流水 ちょうりゅうすい 壬辰・癸巳

沙中金 さちゅうきん   甲午・乙未

山下火 さんげか     丙申・丁酉

平地木 へいちぼく    戊戌・己亥

壁上土 へきじょうど   庚子・辛丑

金箔金 きんぱくきん   壬寅・癸卯

覆燈火 ふくとうか    甲辰・乙巳

天河水 てんがすい    丙午・丁未

大駅土 たいえきど    戊申・己酉

釵釧金 さいせんきん   庚戌・辛亥

桑柘木 そうしゃくもく  壬子・癸丑

大溪水 だいけいすい   甲寅・乙卯

沙中土 さちゅうど    丙辰・丁巳

天上火 てんじょうか   戊午・己未

柘榴木 ざくろぼく    庚申・辛酉

大海水 たいかいすい   壬戌・癸亥

過去の出来事

過去の本日の朝廷や江戸幕府の人事一覧、その他の出来事を紹介します。ほかに昔に関する雑記など。