南留別志249

荻生徂徠著『南留別志』249

一 「き」は葱なり。根にてう(売)るゝを「ねぎ」といふ。分けてうるゝを「わけぎ」といふ。かりて用ふるを「かりぎ」といふ。「き」は一字なるゆゑ、ひともじといふ。上総国の民は、韮(にら)を「ふたもじ」といふなり。


[解説]葱という字は「ねぎ」という読みで一般化しているが、下の『訓蒙図彙』にあるように、音はソウで、「き」という訓が使われていた。今の一般向けの漢和辞典には「き」は載っていないものが多いようである。この字は草を束ねるという意味から、特に「ねぎ」を指すようになった。

葱 

 そう き。俗に云ふ、ひともじ。蔥、同じ。初生するを葱針(そうじん)と為す。今按ずるに俗に云ふ、かりぎ。冬葱は、ふゆき。俗に云ふ、ねぎ。凍葱(とうそう)と曰ひ、慈葱(じそう)と曰ふ。其の葉をヲ葱青(そうせい)と曰ひ、其の茎ヲ葱白と曰ふ。

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