南留別志247
荻生徂徠著『南留別志』247
一 三線を「さみせん」といふは、三の字閉口音なるゆゑ、はねがなを「み」といへるを、世俗のし(知)らで、味の字を加へたるなり。
[解説]昔は仮名遣いが口語(発音)通りではなく、三線の仮名表記は「さみせん」だった。この「み」は撥ね仮名「ん」と同じで「さみ」と表記して「さん」と発音するが、これに通じていない人などは「み」をわざわざ加えて「三味線」(読みも訛って「しゃみせん」)としてしまった、ということ。つまり、三線はこのまま「さんせん」と読めばよいのに、「さみせん」という読みと「三線」という漢字表記が合致しないということで、わざわざ「味」の字を加えた上に読みまで「さみせん」→「しゃみせん」になってしまったことを言う。琉球の楽器は「三線」と書いて「さんしん」だが、このほうが古名をよく残している。閉口音・はねがな共に「ん」(撥音)のこと。
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