南留別志246

荻生徂徠著『南留別志』246

一 天人が、天の羽衣をきたるといふは、道家の詞を用ひたり。


[解説]天人が天の羽衣を着るという話で想起されるのは『竹取物語』。

いよいよかぐや姫が昇天するという時、天人が天の羽衣をかぐや姫に着せたところ、それまで竹取の翁を気の毒だ、ふびんだと思っていた姫の気持ちが心から消えてしまい、何事もなかったかのように車に乗って、百人ほどの天人を連れて天に昇ってしまった……。

天の羽衣は、それを着た人の心を変えてしまうと言われている。中国の道家では「白日昇天(はくじつしょうてん)」という仙人になる方法の言い伝えがあり、この物語の昇天の様子がその方法に影響を受けたとする説がある。徂徠もそのような見方をしている。絵は土佐広通、土佐広澄画。

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