南留別志193
荻生徂徠著『南留別志』193
一 貝は子安がひなり。海螺を「ばい」といへるは誤れるなり。貝を「かひ」とよみて、一切の介虫の総名とするも誤なり。
[語釈]
●海螺 つぶ。「螺」一字でも同じ。食用の巻き貝。ニシ類、東北地方以北でとれるヒメエゾボラや、バイの俗称。ツブ貝。螺のつくものとしては他に栄螺(さざえ)・拳螺(さざえ)・田螺(たにし)などがある。
●介虫 現在は蟹のことを指すが、魚介類といった場合の「介」は軟体動物または貝殻を持った生物のこと。但し、徂徠は貝とは子安貝のことで、それ以外の「かい」の総名とするのは誤りであるとする。「貝」は子安貝をかたどった象形文字であることから、原義に限定すべきという立場なのだろう。
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